母子通園施設について

先日保育園経由で、以前通っていた母子通園施設の文集をいただきました
母子通園施設のことは私の頭から離れつつあったので、「そういえば通っていたなあ」と思い出し、こうして文集をいただけることを少しうれしく思いました

母子通園施設は、発達に問題のある子・心配のある子や障がいがあると診断された子とその母のための施設で、言葉の遅かった息子が2才から3才にかけて1年近く通ったところです
正直に言うと、あまりいい思い出がなくて、障がいがあると診断されたわけじゃないのに障がい児のクラスに変わることになったり、年少さんからの入園見合わせを勧められたり、そのことでめちゃめちゃ悩んだのにあとになって「勧めたわけじゃない」なんて言われちゃうし、保育園と母子通園施設を併用するにあたって保育園に通う日数と曜日でもめたり、 母子通園施設をやめるにあたってもまたいろいろあって、母子通園施設に通ったことは息子にとってはマイナスではなかったかもしれないけど、私としてはプラ スだったのかマイナスだったのかどっちなのかなあと考えたこともあったし、今はそのときのいろいろな不安な気持ちを思い出したくなくて、母子通園施設をや めたことを機にあまり考えないようにしていた…という感じでした

文集を開いてみたら、さまざまな行事の写真などが載っていて、いろんな形に切り取られ、吹き出しもついてとても楽しい雰囲気に仕上がっていました
先生やお母さんたちの感想も載せられていて、私の感想も載っていました
たしかこれを書いたのは昨年度末で、入園のことでいろいろともめていて、母子通園施設に対してあまりいい思いを抱けなくなりはじめた頃に書いたのを思い出しました
だから当たり障りのないことが書いてあって、あんまり印象的な感想ではありませんでした
他のお母さんたちからもときどき母子通園施設に対しての不満や疑問なども聞かれるし、私が抱えていた不満や疑問も理解してくれるお母さんたちも多く、「み んな同じように感じているんだなあ」と思ったこともありましたが、当たり前だけど文集にはそういう文章は出て来ず、もし何も知らない人かこの文集を見たら 「とってもいい施設」だと思うのだろうなあ…と感じました

母子通園施設をやめて半年以上経ち、今改めて母子通園施設のことを振り返ってみると、いろいろな問題はあったけど、それでもあそこに通えたことは私にも息子にも意味があった…と感じさせられます
はじめは「療育」という言葉の意味もわからず、みんな知っていて当然かのように先生の口から出る「療育」という言葉に戸惑ったこともありましたが、今は 「療育」というものがどういうものなのか、人にきちんと説明できないにしても、確固たるものが私の中にあり、もはや日々の生活の中での息子への接し方は 「療育」と呼んでも過言ではないように思うし、発達の心配のある息子に対してだけでなく、何の問題もなく発達している娘への接し方をも療育的になっている し、障がいがあるなしに関わらず、子どもに対してどう接すればよいのかを学ぶ上で、「療育」は本当に役に立ったと感じます

私の子どもたちに対する療育的接し方のほとんどは小児科での療育を通して学んだことですが、その前段階として母子通園施設で学んだこともあったのだと思います
言葉の遅かった息子の発達を、私は言葉の発達だけに「発達」を見出そうとしていましたが、発達ってそういうものではないのだと思います
言葉の発達はひとつの目安であり、いくら言葉を訓練したからと言って発達するわけじゃないし、心身全体の発達を促すことが言葉の発達につながると言うんでしょうか…そういうものなんだと思います
そういうことの基礎を母子通園施設を通して学んだような気がします

母子通園施設で働く先生でとても明るくてチャキチャキしている先生がいたのですが、文集にあった先生の文章を読み、第二子が染色体異常で死産であったことを知りました
上の子を車に乗せ、ドライブしているときに「しゃぼん玉」のうたを聞いて、涙があふれて路肩に車を止めたことがあったと書かれていて、どれだけつらい思いをしたのだろうかと心が痛みました
その先生は母子通園施設で同じ染色体異常の障がいを持った子と出会い、その子が日々成長しているのを心からうれしく思うということも書かれていて、先生たちが母子通園施設に通う子供たちに特別な思いを抱いてくれていたのを感じました

そんなふうに考えはじめたら、母子通園施設に対して感謝の気持ちで終われなかったことが残念に思えてきました
きちんと挨拶もできず、きちんと報告もできず、もやもやした気持ちで終わってしまったことが悔やまれてなりません

ときどき母子通園施設の先生に道でばったり会うこともあるのですが、今も覚えていてくれるし、気にかけてくれているのを感じます
それだけでも「見守られている」ということなのですよね

私の実家は静岡県にあり、保育園を経営していて、ときどき発達に心配のある園児の話を母から聞くのですが、そういう子たちに対する待遇は静岡県と愛知県とでは雲泥の差なのだそうです
息子が通っていた母子通園施設のような施設はないし、今息子が通っている小児科での療育などもあまりないのだとか…
自治体の社会福祉の担当の方も「愛知県は療育施設がとても充実しているが、静岡県はまだまだだ」と言っているのだそうです
母は「愛知県は障がい児に対する環境が整っていていい療育が受けられる」と言います
たしかにそうなのかもしれないと私も感じます
公的な施設で療育を行なっているところを他にもうひとつ知っているし、小児科での療育も多くはないけどいくつかあります
その中で選択できることはかなり恵まれていると言えるのではないでしょうか
もしそういう施設がなかったら…息子はどうなっていたのか考えるだけでも恐ろしいです

母子通園施設に通っていちばんよかったのは、保育園に通いはじめる前に保育園で求められる身辺自立などを練習し、身につけることができたことでしょうか
通園バッグからおたよりノートを出したり、タオルをかけたり、歯ブラシセットをかけたり…大したことじゃないように思うけど、入園した頃にはできない子がまだまだ多いものです
流れに従ってきちんとできるかどうか、それを私が知ることもできたし、息子の練習にもなったと思います
これは入園に際して大きな安心となりました

もうひとつは、私にとって子どもをよく知るよいきっかけになったことでしょうか
こちらは大きいですね…自分の子どものことってよく知っているようで知らないことが多いんです
自分の性格がよくわからないのと一緒で、自分に似ている子どものことってわりとわからなかったりします
療育を通して子どもを見る目もだいぶ変わります
「できる」「できない」にばかり目を向けてしまいがちなところを、「どういうときにできるのか」「どういうときにできないのか」に目を向け、子どもをよく観察できるようになったように思います
子どもの気持ちをまずは受け止めてあげること…言葉で言うのは簡単ですが、これがなかなか難しく、同時にとても大切なんですよね

あと、何かするときに子どもにきちんと伝えることの大切さも学びました
母子通園施設では母子分離もあるのですが、離れたくなくて泣く子どもにきちんとそのことを伝えます
子どもがおもちゃに気を取られているあいだにフェイドアウト…なんてことは絶対にしません
トイレに行くときも、「お母さんトイレに行ってくるからね、すぐに戻ってくるから待っていて」と伝えてから部屋を出ます
おもちゃで遊んでいるのに夢中になっている子どもはお母さんが数分いなくても気づかないかもしれない…言わない方が静かにしていてくれるかもしれないけれ ど、きちんと伝え、「お母さんはトイレに行っていていないんだ」「でもすぐに帰って来るんだ」ということを理解させることは母子の信頼と安心につながるよ うに思います
今でも例えば保育園に登園してたまにぐずったりするとき、きちんと目を見て「3:30になったらいちばんにお迎えにくるからね」と伝えるし、予防接種に行くときも嘘をつかずにきちんと伝えるようにしています
きちんと伝える大切さは身をもって感じています

いろいろと問題もあるとは思うのですが、いろいろ振り返ってみると母子通園施設に対しては感謝の気持ちを素直に感じることができます
療育にもいろいろあって、母子通園施設と小児科の療育方法があまりにも違いすぎて、これでは私も息子も戸惑ってしまうと思ったし、最終的に私は小児科での 療育を選び、小児科の先生を信じてやっていこうと決め、その選択は間違っていなかったと思いますが、療育の基盤を学ぶ場として母子通園施設に通えたことは ありがたかったと感じています
遠回りしたけど、こういう気持ちになることができてよかったと思います

いろいろと偉そうなことを書きましたが、「わかる」と「できる」は違うわけで、実際に行動するのは本当に難しいです
わかっていてもそうできないことってたくさんあるし、わかっただけで終わってしまってはいけないんですよね
でも、「できる」ためには「わかる」ことが必須だし、その前段階として「気づく」ことも必要です
私はまだ「気づいた」くらいの段階なんだろうなあ…
これを日々試行錯誤しながら実行に移していきたいです

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2 Responses to “母子通園施設について”

  1. marikonoma Says:

    この記事、感慨深く読ませていただきました。

    お子さんの導き方が上手だな・・といつも感心していましたが、いろんな体験が加味されて今のやり方があるんですよね。

    一日を点で表わせば、毎日毎日の積み重ねで点と点がつながっていって線になり、それがその人の歴史になる・・・読んでいてそういう気がしました。

    「わかること」と「できること」は違う。
    本当にそう思います。

  2. chucchy(管理人) Says:

    marikonomaさん
    正直に言うとね…母子通園施設のことを思い出すと、嫌な思いをしたことばかりが浮かんで来てしまいます
    でも、そういう中でもはじめて「療育」らしい「療育」を学んだ場所でしたから、すべてを否定しては行けないと思っています
    嫌な思いをした印象が強いけど、学んだこともあった…そのことは素直に受け止めなくちゃ…ですよね

    とは言え、母子通園施設のような保育士さんがやっている療育と、小児科で臨床心理士の指導のもとやっている療育とではかなりの違いがあります
    小児科は開業医でそれなりの実績が必要になるし、先生もよく研究して、あれこれ考えてやっているなあと感じるし、試行錯誤という段階ではないんですよね
    母子通園施設は何か相談しても「一緒に考えていきましょうね」と言われてそれっきりだったり、子どもがやるべきことをやれずにいるのを「それは○○ちゃんが成長しているときだからだと思う」と言われたり、そうなのかもしれないけど、それってあまりにも漠然としすぎていないかい??と思うことも多々ありました
    あらーいつの間にか愚痴になっちゃいました(笑)

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