本「七つ目の絵の具」いせひでこ著

以前読んだ「新編マキちゃんのえにっき」が印象深かったいせひでこさん
一体どんな人なんだろうと気になって、彼女のエッセイ「七つ目の絵の具」を読みました

エッセイを読むときって、たいてい著者の作品を読み、どんな人なのかなと気になって、その人の本音や考え方を知りたくて読むことが多いのですが、今回はこれまでとちょっと違った印象を受けました
エッセイって、物語などに比べると、日記のような、ちょっとしたつぶやきのような、ちょっと肩の力を抜いて書くような、本腰を入れているストーリーの合間に書くようなものが多い気がして、だからこそ著者の横顔が見えると思っていたのだけど、この「七つ目の絵の具」は全然肩の力を抜かずに書かれたものだと感じました

これはいせひでこさんが作家ではなく画家だからというのも大きいのかも知れないけれど、ひまつぶしに書いたエッセイではなく、そのときそのとき自分が感じたことを100%文字にしたような、そんなエッセイで、気軽に読もうと思っていた私は度肝を抜かれてしまいました

いせひでこさんが感じているものがあまりにも膨大すぎて、私の感性では理解し切れないように思い、100%完全に理解できたとは到底言えないなと正直なところ感じて、感想らしい感想を語れないのよね…
エッセイというよりも詩集のような感じがして、文章の美しさ・ハギレのよさ・リズムのよさ・かっこよさをひしひしと感じてしまいました

本を読んだ感想からは少し離れてしまうかも知れないけれど、私はちょっと他のことを考えながら本を読み進めました
こういう天才的な感性を持っている人が結婚して子どもを授かって日常的な家事・仕事をこなさなければならないというのは本当にたいへんなんじゃないかと…

新編マキちゃんのえにっき」にはいせさんの娘さんの目を通しての母親・いせひでこさんが描かれていますが、もうちょっと優しくしてあげてもいいんじゃないかなと思う場面もちらほらありました
でも、このエッセイを読むと、いせさんはいせさんなりに子どもたちに愛情を注いでいたと感じるし、芸術的感性を日々感じている中で、それを絵や文といった形にしようという欲求や使命感を全うするためには、時間的な要素も必ず必要になってくるんだろうなと思うのですよね

女性はせっかく才能があっても結婚・出産をするとダメになってしまうということがあると思うのですけど、それは男性と違って結婚・出産は女性にとってこれまでの生活を一変させる出来事になるし、どちらも誰か他の人のペースに合わせて生きていかねばならないということだと思います
となれば、恵まれた才能を発揮するための自分の感性・感覚・思想を封印しなければならない事態にもなってくるはず…
そうしていれば才能は閉じてしまうし、その才能を閉じずにそのまま突き進もうとすると結婚生活がうまく行かなくなる…ということにもなっていくのかもしれません
母となれば自分自身もまわりも「母としての責任」を意識するし、そうやって「落ち着いて行く」ことを良しとする人たちも多いと思います
私自身も、結婚して出産してからやらなくなったこと、たくさんあるなあ…
昔は毎日ギターを練習して、そこそこ弾けていたけど、今は全然やってなくて、指の腹もすっかりやわらかくなってしまって…
ま、私のギターなんて大したことないものだから、誰も「もったいない」なんて言わないんですけどね(笑)

いせひでこさんは、一般的な視線で見れば、ちょっと変わったお母さんだったのではないかと思います
芸術的な才能を形にするという天職を果たしながら子どもを育てる…そんな姿はときに子どもたちに淋しさを与えたかも知れないけれど、まるでお父さんの背中を見て子どもが育つように、いつしか子どもたちも母の姿を理解するようになったんじゃないかなあ?

何だかまとまりませんが、いろいろと考えさせられた一冊でした

Tags: , ,

Leave a Reply

(Spamcheck Enabled)